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国立大学法人に埋蔵金なんてない

「国立大学に『埋蔵金』3000億円 07年度段階」(Asahi.com)
全国に90ある国立大学に07年度段階で約3千億円の「埋蔵金」があることが財務省の調査で分かった。

 ●国立大学法人の予算剰余金を「埋蔵金」と呼ぶ財務省 (大学プロデューサーズ・ノート 【早稲田塾】)

「埋蔵金」と表現されていますが、これは「地面を掘ったら出てきた」というお金ではなく、経営のために血を流して工面したお金。未来のための貯金です。
これを、「埋蔵金」と位置づけるのは、果たして適切なのでしょうか?

本当に財務省の小童役人の戯言がせっかくの制度を台無しにしようとしています。当初は上辺だけの行政改革の一部だったのかもしれませんが、せっかくある程度成果が出て効率化し、馬鹿げた単年度主義の予算からも脱却しようとしているのに、これでは記事にもあるように、余らせると埋蔵金として吸い上げられるくらいなら、使い切ってしまえという昔の発想に逆戻りでしょう。
  
そもそも国立大学の授業料はここ20年程度で倍増しており、当然その分予算的にも余裕があってしかるべきです(法人化後は1度値上げがあった程度だったかな)。利用者負担の名目で、私立との格差是正の名目で授業料は引き上げられ続けていますが、究極的な国立大学としての存在意義を考えたならば、授業料はなるべく安く、できることなら無料でも全く問題ないと思います。私は国立大学と私学の違いは、国民に高等教育の機会を国が保障することしかないと考えています。また特に特徴のない国立大学は、その点をいち早く訴えて、モデルケースにでもなったほうが生き残る可能性が高いんじゃないかと思うくらいです。
  
話が脱線しましたが、努力してお金を余らせたら、自由に使っていいよと言っておいて、せっかく運営費交付金の1%削減にも教員の定員を補充しないなどして耐え、ようやく貯めたのに、  そのため貯めたお金を、自分が見つけたかのような顔をして、埋蔵金と呼んで横取りしようとする財務省の役人も、そのまま記事にするマスコミも、泥棒と呼んでも差し支えないほどの性悪でしょう。
家計が苦しいから少しずつお小遣い減らす変わりに、お小遣いを何でも自由に使っていいよと言っておきながら、毎月のお小遣いの中からやりくりしてせっかくまとまったお金ができて、さあ何買おうかと思っている矢先に、「お小遣いが余ったなら返せ、毎月のお小遣いが多すぎたな」なんて言う親は鬼畜でしょう。しかもその親は、他で無駄使いをたくさんしておいてですよ。
  
確かに無駄な部分が多かったため余剰を出すだけの余地があったのかもしれません。職員も私学や公立大学に比べると多いかもしれません。でもせっかく法人化を行って、予算から外れた考えができるようになって少しは効率というものを考え出せてきたのに、その努力を一言で無に帰す「埋蔵金」という言葉は、税金を納めている国民をも馬鹿にしているとしか思えません。自らの努力で余らせたお金を自由に効率よく使ってもらうことに何ら異論を挟む余地はありません。それをちゃんと説明を受ければ国民だって国立大学法人を支持します。それが法人化の際の最初の約束だったのですから。
次の中期計画においては、余ったら国庫に返納すると決めてスタートするならそれでもまだ良いかもしれませんが、効率よく運営するというインセンティブは全く無くなります・・・それで本当にいいのでしょうか。国は国立大学をどうしたいのでしょうか。世界的な競争力をもたない国立大学はあるだけ無駄なのでしょうか。どこまで子育てに厳しく老人に優しい国になれば気が済むんでしょうか。

    
財務省も削るところはそこじゃないだろうと。定額給付金とか道路とか合同庁舎とか色々あるでしょうに削るところは。どうせ弱いものからしか削れないだけなんでしょうが。景気対策の名の下に、こんな馬鹿な使い方をしておいて、税収が足りないので消費税を15%にします、なんていうのはどうにも許せません。